神経再生リハビリトレーニング治療
脊髄損傷者・交通事故の後遺症、脳梗塞の後遺症の方、それぞれの状態に合わせた神経再生リハビリトレーニング治療を行います。
脳卒中とは
脳卒中は「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つの種類が代表的なものです。
脳梗塞の症状・後遺症
脳梗塞の症状・発作・後遺症は、脳のどの場所の血管が詰まったか(梗塞したか)によって様々なものが現れます。また、梗塞したことにより脳細胞へ影響があった範囲の広さなどにも関係してきます。
言語障害
失語症とは、左脳の言語中枢に障害が起こると発症します。話すことや、言葉を理解する、聞く、読むなどの言語に関することの全てが上手くできなくなります。
視野障害
脳梗塞の視野障害とは、「半盲(はんもう)」という症状がよく見られます。半盲とは、片目、もしくは両目で見て視野の左右どちらかの半分(または4分の1)しか見えなくなってしまいます。
めまい
めまいとは、まるで自分が回転していたり、地面が揺れているかのようにクラクラする、フラフラするなどの症状がおこるものです。めまいは脳梗塞でなくても現れる症状ですが、ほかの脳梗塞の症状といっしょに起こったら、脳梗塞によるものと考えられます。
嚥下障害
嚥下障害とは、食べ物や飲み物を上手く飲み込めなくなります。つばも上手く飲み込めないので、よだれがたれたりします。嚥下障害は脳梗塞で起こる症状として良く見られるものです。
脳出血の症状・発作
片マヒ(かたまひ)、感覚障害、視野障害、意識障害、失語症、しびれ、けいれん、呼吸障害、眼球運動障害、四肢マヒ、縮瞳、高熱、吐き気、嘔吐、歩行障害、起立障害など。
脳出血の症状・発作が起こるのは、多くの場合、日中の活動している時間です。これは、活動している時のほうが血圧変動が激しいためです。外に出たときや、排便の時(いきんだ時)、入浴の時、興奮した時などの、血圧が上昇する時に起こりやすいと言えます。季節でいうと真夏と真冬に多く起こり、時間帯では朝の7時ごろと午後5時ごろといわれています。
視床出血の症状は「しびれ」、「片マヒ」、「感覚障害」などです。また視床出血では出血した後に「視床痛」という半身の激しい痛みが起こることがあります。
皮質下出血とは、大脳半球の表面を覆う灰白質の皮質である「大脳皮質」のすぐ下で出血する脳出血です。頭頂葉、側頭葉、前頭葉などの皮質下によく見られます。
脳幹とは、間脳(視床・視床下部)、中脳、延髄、橋で構成されていて、脳と脊髄を結ぶ部分にあり、末梢神経や筋肉にもつながっています。体温調節、呼吸・心臓の運動などの生命維持に関わる神経が集中している部分です。
脳幹出血の症状は、「呼吸障害」、「意識障害」、「眼球運動障害」、「四肢マヒ」、「縮瞳」、「高熱」などが起こります。
眼球運動障害とは、両目が一つの方向にかたよったり、鼻をみつめたりする状態です。四肢マヒとは両手両足のマヒのことです。
くも膜下出血の症状
強烈な頭痛、吐き気・嘔吐、項部硬直(うなじ・首の辺りの硬直)など、くも膜下出血の症状・発作は、「強烈な頭痛」、「吐き気・嘔吐」、「項部硬直」などです。これらの症状を「髄膜刺激症状」といいます。
髄膜刺激症状は、くも膜下出血を発症するとほとんどの場合みられますが、脳梗塞や脳出血の症状としてよく見られるくも膜下出血の代表的な症状です。ハンマーで殴られたような強烈な頭痛が急激に起こります。ただ出血が少ない場合は、普通の頭痛ぐらいの痛みしか感じない場合もあるので、ただの頭痛で終わらせないように注意が必要です。くも膜下出血の場合の頭痛は、突然起こり、普段起こる頭痛とは少し違う感じがして、数日間の間症状が続くことがあります。また、吐き気・嘔吐、意識障害なども起こります。
脊椎損傷(頸椎損傷・胸椎損傷・腰椎損傷)
筋力強化機能回復トレーニングについて
「脊髄損傷」脊髄とは脳から背骨の中を通って伸びている太い神経のようなものです。頭をポリポリ掻いたり、こっそりつまみ食いをしたり、人間の身体を動かす様々な指示は脳からこの脊髄を通って全身に伝わるので、人間にとってとても大切な部分といえます。
脊髄は脊椎(背骨)によって囲まれた脊柱管というトンネルを通り、脳からの指令を手や足などの末梢に伝えたり、反対に末梢からの信号を脳に伝える役割を果たしています。顔面以外の運動や感覚はすべてこの脊髄を介して行われています。
脊髄はそれぞれ左右へ末梢への枝を出しており、その枝の出ている位置から髄節という単位に分類され、頸髄は8、胸髄は12、腰髄は5、仙髄は5の髄節に分類されます。
脊髄が損傷されると、その障害された部位より下へ脳からの指令が伝わらなくなり、また下からの信号が脳へ伝わらなくなります。そのため運動マヒ、感覚障害、自律神経障害、排尿障害、排便障害などのさまざまな障害が生じます。脊髄は脳と同様に中枢神経に分類され、成人の場合、神経細胞が一度損傷されるとその再生は困難であり、いわゆる後遺症がその障害の程度により残ります。
このような脊椎外傷以外にも、最近の日本では高齢化による頸椎変形が原因でちょっとした刺激で引き起こる「非骨傷性頸髄損傷」が増加傾向にあります。
「非骨傷性頸髄損傷」は「中心性頸髄損傷」(頸髄の中心部分が損傷している状態)となることが多いです。頸髄の中心には上半身に行く神経が集まっており、逆に外側には下半身に行く神経が集まっています。「中心性頸髄損傷」では手のシビレやマヒ、物に触れることができないような激しい痛みなどが慢性的に続きます。高齢者での発症時期や発症機転が不明確な場合、しっかりとした検査が実施されず、「脳梗塞」や「加齢変化」などと誤った診断がなされていることもあります。
脊髄損傷の症状
運動マヒ、感覚障害
脊髄の損傷されたレベル(髄節)により、運動マヒや感覚障害の分布が異なります。マヒの重さは脊髄の損傷の程度によります。各運動レベル(髄節レベル)での運動機能を以下に示します。また、表1は、各運動のレベルと機能残存筋、日常生活動作(ADL)との関係を示したものです。
第5頸髄 - 肘を曲げることができる
第6頸髄 - 手首をそらすことができる
第7頸髄 - 肘を伸ばすことができる
第8頸髄 - 指を曲げることができる
第1胸髄 - 小指を外側に開くことができる
第2腰髄 - 股関節を曲げることができる
第3腰髄 - 膝を伸ばすことができる
第4腰髄 - つま先を上にそらすことができる
第5腰髄 - 足の親指を上にそらすことができる
第1仙髄 - つま先を下に向けることができる
運動レベル | Keyとなる機能残存筋 | 日常生活のめやす |
---|---|---|
C3以上 | 胸鎖乳突筋、僧帽筋 | 全介助、呼吸器使用 |
C4 | 横隔膜 | 全介助、一部食事は装具を用いて可能 |
C5 | 三角筋、上腕二頭筋 | 装具、補助具を用いて食事、整容が可能。電動車いす、平地での車いす駆動が可能 |
C6 | 橈側手根伸筋 | 更衣、自己導尿、ベッドと車いすの移乗、車いす駆動、自動車運転が可能 |
C7 | 上腕三頭筋、指伸筋 | 日常生活全般は一部介助?ほぼ自立。車いす駆動、移乗、入浴可能 |
C8〜T1 | 指屈筋群、手内筋 | 普通型車いすでADL自立 |
T12 | 腹筋群 | 長下肢装具とクラッチで歩行可能、実用には車いす |
L3〜4 | 大腿四頭筋 | 短下肢装具(+杖)で実用歩行可能 |
経絡・経穴治療リハビリトレーニング治療による効果
WHO(世界保健機構)の論文によると、経絡・経穴治療により脊髄損傷の下記症状の73%は改善されると発表されています。
・運動麻痺 ・感覚障害 ・自律神経障害 ・血管運動障害 ・消化管の障害 ・膀胱障害(骨盤内臓神経)
・体温調節障害 ・性機能障害 ・褥瘡 ・拘縮
経絡・経穴治療
以下の症状の改善が期待されます。
・機能障害の改善、マヒ・疼痛・シビレ・痛み緩和(脊髄損傷)、脊髄分節が高位のマヒ神経やマヒ筋肉の治療
・筋力増強、残存機能の維持、血行改善と神経再生治療、感覚神経の正常化
経穴治療
人が本来持っている自然治癒力を高めることで、身体のバランスを整え機能の回復を図る治療法です。
置き経絡・経穴治療
経絡・経穴治療の効果を持続させる為の治療です。
リハビリトレーニング機能改善のための経絡・経穴治療
上肢への治療
上肢への治療内容としては痙性マヒによる屈筋の痙性緩和をしながらも各関節の拘縮を改善、限り無く実用手に近い補助手をめざします。実用手(正常な手)に対して、中枢神経マヒの起こった手は補助手として扱われますが、これを実用的な補助手とすることを念頭に治療していきます。
肩関節の神経再生 筋肉靭帯強化。上肢が挙上できない原因の1つに肩関節の筋肉靭帯二関するマヒ・疼痛・シビレ・痛みがあります。この神経再生の改善も大きなポイントです。 上肢の腕神経叢にアプローチしながら神経再生回復治療を行います。
下肢への治療
下肢への治療内容は、上肢と同じく痙性マヒの緩和と関節拘縮の改善。
足首においては内反尖足の改善及び足背の背屈改善のためのアプローチ。
全体的には、ぶんまわし歩行の改善を念頭に治療をします。
下肢の屈筋痙性におけるコントロールは専門的な治療が必要です。
体幹のバランス
立位歩行に必要なのが体幹のバランスです。リハビリトレーニング治療中には良くできていても、自己訓練によって代償性のリハビリトレーニングを行い易くなり、歩行や上肢のリハビリトレーニングによって体幹部のバランスが崩れます。
こうした結果が脊椎の側弯にもつながってきますので、同時に上下肢と共に体幹部(脊椎を中心)にアプローチいたします。